「印伝」とは、印度伝来を略したとも伝えられています。
鹿革に模様をつける革工芸は、
奈良時代につくられた文庫箱(東大寺蔵・国宝)などにもみられ、
戦国時代には武将たちの鎧や兜などをきらびやかに飾りました。
江戸時代になると、遠祖 上原勇七が鹿革に漆で模様をつける
独自の技法を創案、ここに甲州印伝が始まったといわれています。
滑稽本『東海道中膝栗毛』に印伝の巾着が記されているように、
印伝は洒落者の粋な持ち物として人々に愛好されました。
燻・更紗とともに甲州印伝の技法は家伝の秘法として
代々の家長「勇七」のみに口伝され、
現代においても生活を彩る実用美として息づいています。
印傳屋は稀少な日本の革工芸の文化を伝える担い手として、
自然にこころを寄せる日本人の感性と
伝統をたいせつにしながら、
人々のこころに伝わるものをつくり続けていきます。
印傳屋 十四代 上原 勇七