9月24日は中秋の名月。 自然を感じ、風月を愉しむ
月に想う人よ。
9月24日、旧暦でいう8月15日の十五夜の月は
一年で最も美しい「中秋の名月」として、古くから人々を魅了してきました。
月見は唐の時代に日本に伝わり、貴族の間に広まったとされています。
都の貴人たちは夜空の月を見上げるのではなく、
池の水面や盃の酒に映る月を愛でて、風流を愉しんだとか。
空海、橘逸勢とともに三筆と尊称される嵯峨天皇は、
寺院の庭園に月見を愉しむための池をつくられたと伝えられています。
庶民の間にも月見が広まったのは江戸時代に入ってから。
田んぼの稲穂が膨らみ、ちょうど収穫を迎える中秋、
まん丸いお月様に人々は五穀豊饒、子孫繁栄などの祈りや感謝の心を込めて、
ススキを飾り団子や芋を供えました。
現代にも受け継がれる月見の形はこの頃から続いているのです。
自然とともに生きる人々の暮らしに、心の中に、月はいつもありました。
昼間の太陽では照らせない、月夜だからこそ浮かんで見える情景とそこに湧く感慨がある。
満ち欠けをする月の姿に侘びを感じるのも、日本人の感性なのかもしれません。
だからこそ、一年の中で最も美しく感じる十五夜の月に
わたしたちは見惚れ、風月を愉しんできたのでしょう。
十五夜に月をゆっくり眺めてみませんか。
いつも当たり前にあると思っている自然の姿をあらためて感じてみてください。
そこで湧き起こった想いを、たいせつに。
ススキ野原から、富士と月を望む
これらの写真は、中秋の名月のひと月前の満月の日に撮影したものです。場所は山中湖から三国峠へ至る県道の途中にある山中湖パノラマ台。眼下には山中湖、その向こうに富士山を望むことができるビュースポットです。秋にはススキが一面に広がり、まさに十五夜には絶好の観月ポイントと言えるでしょう。月を待つ夕暮れから夜にかけては、空の色合いが変わっていく幻想的なシーンを見ることができます。そして、この日はお月様がその姿を見せてくれました。今年の十五夜は、どうかみなさまが名月に会えますように。
印傳屋は十五夜にメッセージを発し続けて30年
リニューアルした印傳屋公式サイトでは、これまで30年に渡って新聞に掲載し続けてきた連載広告「十五夜シリーズ」のアーカイブを紹介しています。十五夜の新聞広告は、印傳屋が中秋の名月を愛でるお月見の機会に日本の文化を振り返ることを新聞広告を通してみなさまに呼びかけ続けてきたもので、今年の十五夜でちょうど30年目。印傳屋はこれからも先人が培ってきた文化や自然とともに暮らす日本人ならではの想いなどをたいせつにしてまいります。
「十五夜シリーズ」アーカイブ https://www.inden-ya.co.jp/special/newspapers/fullmoon/
印伝で風月を愉しむ
古よりこの国の人々が抱いてきた自然への想いや願いは、さまざまな模様として表され、工芸に取り入れられてきました。身近な草木や花、実、虫、動物、波の姿。印傳屋は自然を感じとる日本人の心から生まれた様式美を受け継ぎ、時代とともに進化させながらさまざまな模様を生み出しています。あなたの心に寄り添う模様を見つけて、日本の風月をいつも身近に感じてみませんか。